たまには、野営じゃなく、オートキャンプをしに行こう。
長野の五光牧場キャンプ場へ
ここ最近は、開拓して野営して、というキャンプが多かったが、もともとは、ギア満載のオートキャンプを志向していた。たまには、そんなキャンプをしたいと思っていたところに、グルキャンのお誘いを受けた。
東京から2時間半、長野の、五光牧場オートキャンプ場へ。
チェックインして、設営。久しぶりに、シェルターを張り、ソファを置いてまったり。ラボリエでも、早くこんなキャンプができるように整備していきたい。
満天の星空
このキャンプは、料理やお酒など、たくさん楽しんだが、何より良かったのが、星空だ。ここでは、この星空撮影について記録しておきたい。
僕が晴らしますから、星は綺麗に見えますよ!
メンバー随一の「晴れ男」、Solの宣言通り、晴天。どころか、雲一つない。ランタンの光量を少し落とすと、見渡す限りの星空。氷点下にせまる気温だが、おかげで空気が澄みわたり、星や遠景がくっきりと見える。
雨男の私としては、まさに奇跡! 絶好の、星空撮影日和だ。
ふつうの星空撮影
まずは、“ふつう”に星空を撮影。スローシャッター撮影になるので、テント内のランタンの光量を下げてから撮る。
これだけでも綺麗だ。まさに満点の星空。そして、ここから更に、撮影を進めていく。
インターバル定点撮影
三脚でカメラを固定し、テスト撮影をしつつ、アングルを決めていく。そして、「インターバル撮影」をスタート。一定の期間、例えば10秒おきに、1枚撮る、というような撮影モードだ。
このスタートをして、あとは、シェルターに戻る。撮影としての作業は、これだけだ。これで、数時間待つ。
その後、バッテリーを入れ替え、また場所やアングルを変え、同じようにインターバル撮影をしていく。今回は、夕方~就寝時まで、就寝時~朝までの、2パターンを撮影した。
キャンプ場でできるのは、ここまで。あとは家に帰ってからの作業だ。
動画として1枚の写真に落とし込む
インターバル撮影で撮った写真は、各アングルで1,000枚を超える。これを、「動画」として、動画編集ソフトに取り込む。
動画はもともと、たくさんの写真を、パラパラと高速に差し替えることで、動いているように見せている。映画なら1秒間に24枚だ。なので、1,000枚の写真も、動画としても見ることができる。この1,000枚は、この数時間の星の動きが写しこまれているので、このまま再生すると、星が、ぐるぐると回っていくムービーになる。
これを、1枚の写真として、重ねていく。「比較明合成」というが、2枚の写真を重ねたとき、2枚の写真の中の各部分において、どちらか明るい方だけ残す、という手法を使う。結果、星の光っているところが、残っていく。星以外のところは、動きがなければ、同一になるため、何も変わらない。
これを、1,000枚以上の写真で行う。
私が、動画編集ソフトでこの編集をするのは、この枚数が理由の1つだ。2-3枚であれば、画像編集ソフトでもできる。だが、1,000枚以上だと、作業は膨大になってしまう。動画として扱うことで、効率的にこれができる。
そうして重ねてみたら、こうなった。
星が、くっきり!!この時点で、テンションは最高潮。何より幸運なのは、「雲」が、全くないことだ。雲がないことで、星が途切れることなく、円を描いている。
しかし、ただ重ねただけでは、課題がある。この写真では以下2つ。
- 人が持つライトの光跡&自動車のライト
- 星をまたぐ、飛行機の光跡(見えにくいものもあるが、6本ある)
ここからの基本的な作業は、1,000枚の写真の中から、この光跡が写っている1枚を見つけ、消していく、というもの。1枚に合成してから消すと不自然になるが、元の1000分の1枚まで戻って消すと、合成の中で馴染むのだ。
ここに、最も、時間と気力が必要になる。
ただ今回は、雲がない。実は雲が出た場合は、同じく、1枚ずつ雲を消していく作業が加わる。また、飛行機が6本というのもラッキーだ。過去、飛行機の航路になっていたところでは、20~30本を消したこともある。
そうして、細かく消していき、微調整したものが、こちら。
元の写真と違い、空が蒼くグラデーションになっている。これは、ここから「朝陽」が昇る直前までを足しこんだことで、このような光景になった。そんな、時間経過も、この1枚には詰まっている。
もう1アングルは、同じ編集をして、こうなった。
このアングルでは、この角度で、夕陽が沈むときから撮影をしていた。夕陽と星空では、適するカメラの設定が異なる。夕陽が沈んだら、カメラを固定したまま星空用に設定を変えて、撮影をしておいた。
VFXテクニックによる発展形
ここまでは、まだ“ふつう”の写真の域だ。このような編集をする人は、たくさん世の中もいると思う。ここから先を、研究してきた。
私は、大学時代に、映画制作、特に「VFX」=映像特殊効果を学んでいた。CGなどを合成し、現実にはありえない映像をつくったりするものだ。
卒業後、いろいろ転機あって映画制作に従事することはなくなってしまったが、当時学んだことは、まだ残っている。
この星空の素材を、動画として「VFX」で加工していく。CGを重ねると、「実写」とはかけ離れてしまう。そういったCGの「付け足し」はせずに、あくまで、素材を活かした調理だ。
そして、完成したのは、こんな写真。
ここでは、星を「描き足す」ことはしていない。1,000枚以上の写真の時間経過に沿って、VFX加工の度合いを少しずつ変え、星の瞬きや光の拡がりを強調している。
さらにVFXを駆使して、遊ぶこともできるが、原形を留めなくなってしまう。これくらいが、バランスとして良いかなと、止めた。
今回のキャンプでは、最高の素材が撮れ、写真編集も楽しかった。また、今後のキャンプでもチャレンジして、新しい表現方法を研究していけたら。
<過去に撮影した写真たち>