ギアDIY|打ち出してつくる、銅の中華鍋

銅の使いやすい鍋が欲しい!

キャンプでのお鍋事情

 キャンプの調理器具は様々なものがあるが、使いやすさ・手入れの手間・見栄え、そのバランスをとりつつ選ぶ。

 特にグルキャンでは、ある程度の大きさの「鍋」が必要になることが多い。

 しゃぶしゃぶ・もつ鍋などの鍋料理には、今まで「土鍋」か「ダッチオーブン」を使うことが多かった。両方とも、「見栄え」はいいのだが、土鍋は、割れやすく、そもそもアウトドアに持ち出すのに向いていない。ダッチオーブンはその問題はないが、錆びるため、洗った後、油で焼き付けるなどの手間がある。(それをきちんとすると、育って”味”が出てくるので、気持ちにゆとりがあれば楽しい。)

 そして両方とも、とても重い。重いと、キャンプ場で、テントサイトから洗い場まで持っていくのが大変だ。意外とこれが、二日酔いの翌朝にツラかったりする。

 一方、アウトドア用につくられた鍋も、多々ある。メンバーが愛用しているのは、snowpeakの「パンクッカー」。よくできた製品で、軽いし手入れも楽だし、使い勝手がいい。

 私がネックになっているのは、素材感とカラーリング。このグレーの色味が、ちょっとだけ、自分のカラートーンに合わないのだ。そして、もう少し、「素材感」のあるものがよかった。

銅鍋づくりのワークショップ

 そんな折、買い物にいった三井アウトレットパーク・横浜ベイサイドの「Garage」というお店で、輝く銅の鍋を見つけた。しかし値札はなく、「ワークショップでつくれます」の案内が。

 銅の質感がとてもよく、サイズ感もちょうどいい。銅は、サビに注意する必要はあるが、鉄製のダッチオーブンほどではない。

 こちらは、愛知県の銅アーティストの「Kanade」こと、奥田さんが教えてくれるワークショップだそうだ。

 チラシを持ち帰り、少し悩んだ後、決心してワークショップに申し込んだ。

※参加のネックだったのは、ワークショップの「参加費」のことだけ。その金額は2万円と少し。銅の鍋は、買おうと思えば既製品で1万円以内でもあったのだが、「自分でつくれる」という体験も込みで考えたら、アリだと思って決心した。

銅鍋づくり・ワークショップスタート

 翌週、またアウトレットパークへ。ワークショップの会場に着くと、丸い銅の板が置いてある。

 そして、好きな刻印を、円に沿って縁に打つように促された。

 私が打つのは、いつも通り、「LABOLIER」で。鉛筆でしるしをつけて打っていく。ちょっと、右端のLとAの間が近かった。

 銅板を裏返し、凹みがある丸太の上に置き、錫が引かれた面を木槌で打っていく。

 どれくらいの強さで打つと、銅板がどう凹んでいくのか、手探りだ。

 真ん中から、左手で銅板を回しながら、少しずつ広げて打っていく。

 ふにゃふにゃだ。この時点で、ちゃんとした銅鍋になる予感はしない。。。

縁の波うったところは、早めに打って、整えた方がいいですよ。

 アドバイスをもらい、打ち進めていく。

 少し、丁寧に打っていくようにした。打つ強さはそのままに、左手で回すスペースをなるべく一定にして、同間隔で打っていけるように。

 ちょっと、形になってきた。

 あとは、下の丸太の凹みに合わせ、打てるだけ打つ、という感じだったので、ひたすら打っていく。

手で触りながら、凹凸があったら丁寧に均してくださいね。

 細かな凹凸を整えていくと、ほぼ2時間経っていた。

いいタイミングで、休憩をいれてくださいねー。

 もう右手の握力がない。木槌を握っていたところが、豆ができている。左手も、力を入れて鍋を押さえていたので、疲労している。

銅鍋の仕上げへ

 もう、ほぼ出来上がった気がしていたが、あと少し、仕上げに向けた作業があるそうだ。

テーブルに置けるように、底をつくりましょう。大きさは好みです。

 確かに、今の、全て底が丸いままだと、コンロに置くにはいいが、鍋敷きの上に置いておくときには困る。

 とはいえ、この丸い感じがいいなと思ったので、最小限の大きさで底をつくることにした。

 反対側から打って戻し、平らな板の上に置いてまた打ち出す、という工程を経て、こちらで底ができた。

 ほぼ分からないが、底ができて、自立するようになった。

 次に、縁のところを、細かく打っていく。これをすることで、縁の強度が増すそうだ。意匠としても光が反射して美しい。

 そして、真鍮の取っ手を取り付ける。この持ち手の金具は、用意頂いたものだ。

 方眼紙の上に置いて、取っ手を付ける場所を決め、取っ手の金具の穴の位置と、本体とを合わせてマーキング。

 ドリルで本体に穴を開け、銅の棒を入れ、両側から金槌で打ちつけて頭を広げて、釘のような形にして固定していく。

 これが細かな作業でなかなか難しい。きちんと金槌を棒に当てないといけないが、手元がズレて本体に当てると、傷がついてしまう。最後の正念場だ。

洗うときに、ひっかからないように、丁寧に均してくださいねー。

 最後は自分が納得できるまで打って整える。

銅鍋・完成!!

 最後に、「ピカール」という薬品を使って磨き上げ、ピカピカの銅鍋になって、完成。

 取っ手は、全く動かず、安定感がある。

 ハンマーで打った凹凸が残っているが、これが味としていい。

 錫がひかれた鍋の内側も、もう十分なほど打った。

 「LABOLIER」の刻印もさりげなく入った、まさに世界に1つの品になった。

 さて、この鍋で、これからキャンプ料理をいろいろ楽しんでいこう。

 楽しく&貴重なワークショップ、参加ができて本当に良かったです。ありがとうございました。