山林探し③ 不動産情報サイトで山林を見分ける方法

不動産情報サイトで、いい山林を探していこう。

《いい山林を見つけるには》
・不動産会社に相談しても、多数が断られるが、諦めずに続けよう
・「別荘地」は多数ヒットするが管理費がかかるので避けよう
・“地目”を見て「農地」は買えないので避けよう
・関東近郊だと「千葉県」の物件数が多く、当たりやすい

■最初に見つけたのは、別荘地や農地
 サイトで条件を設定し、検索して、まず山林の土地で目に入ったのは、「別荘地」だった。これはとにかく件数が多い。物件紹介に、「〇〇別荘地」、「管理費:年間〇万円」とか書かれている物件だ。別荘地によっては格安だ。物件0円、手数料だけ10万円、というところもあった。

 これは予算を大幅下回る買い物ができるのでは?と、最初思ったが、冷静に考えてみた。件数があってこれだけ安いのなら、リスクがあるのでは。買って、仮にまた売ろうと思っても、売れないのではないか。(実際、この後も、何ヶ月か見ていたが、ほとんど売れず動いていない。)

 もし、将来売れなかったら、一生涯、管理費を払い続けることになる。今は良くても、将来はどうか。そして何より、近隣に他の別荘が多数ある環境だ。焚火をするのも、だいぶ気を遣うことになるだろう。そこで、別荘地は、候補から外すことにした。

 次に見つかるのは、「農地」だった。広いのに安い。田んぼはキャンプ用地としては厳しいが、畑なら転用できるのでは。

 そう思ったが、調べると、農地に関しては「農地法」での規制があり、買えるのは「農業事業者のみ」になる。農業事業者になることは可能だ。数多くの書類を揃え、届出すればよい。書類を代行して作成してくれる会社もあるとのこと。ただ、それに何十万円という費用と、かなりの時間がかかるという。また、これで買っても、将来売る場合は農業事業者にしか売れない。農地も、避けることにした。

 別荘地も、農地も、魅力のある土地であれば、ハードルは超えたいと思ったが、残念ながら、そこまでして買いたい、という土地はなかった。そのため、現実的な判断となったが、それ以外となると、もう、ほとんど出てこないため、行き詰った。

■不動産会社に聞いてみる
 次は、山林に近そうなエリアの住宅地を問い合わせて、その流れで、不動産会社にダメもとで相談する。それを、30社以上の不動産会社に問い合せてみた。しかし、「条件が合う物件あれば、またご紹介します」と言われ、そのまま音信なし、というパターンが続いた。とある不動産会社では、若手っぽい女性社員の子が、がんばって探してくれ、何回も提案をくれたりもしたが、やはり別荘地か、予算を大幅にオーバーする物件だった。

 これは、心が折れそうになる。山林は、今まで“買いたい”という人が少なく、価格も安いことがあって、不動産の流通には乗ってこなかったのだろう。ただ、キャンプブームの根底にある、自然と触れたいというニーズから、”買いたい”という人は、きっと増えると予感している。私が不動産会社に問合せするのは、ただのメール1通かもしれないが、同じような考えの人の行動と合わさり、大きなニーズを、不動産業界に示すことになる。いつか不動産業界が動いてくれたら。この問合せがそのきっかけになればいい。そんな理由付けをして、自分を元気づけ、問合せを繰り返す。

■売りに出ている山林の傾向
 そして、半年ほど、コツコツ探索をしているうちに、傾向が見えてきた。

最も流通しているのは「千葉県」
・千葉県は、比較的安価な土地が、時々出て、すぐ売れている
・山梨、静岡の関東寄りは、別荘地以外、ほとんど出てこない

 千葉なら、中央道や東名高速より高速道路の渋滞は少なく、アクセスがいいのは魅力の1つだ。

傾斜地は多いが、平坦地は少ない
・斜面になっている土地は多々あるが、平坦地で100万円以下はレア
・斜面を平坦にする工事も可能なようだが、100万円をゆうに超えるため、現実的でない

景色の良い土地は、レアで高い
・海が見える、川が流れている、高台で富士山が見えるなど、当初の憧れを実現する土地は、かなりレア
・1,000万円オーバーの予算があれば、少数だが物件あり

■不動産情報で見るべきポイント
 そして、不動産会社に問合せしてやりとりする中で、不動産関連の知識も増え、ポイントもわかってきた。

●地目
 不動産登記法で規定される、土地の用途による区分。宅地、田、畑、山林、原野、など23区分ある。地目によって、できることが変わり、固定資産税も変わってくる。

・宅地:家を建てられるが、固定資産税が高い
・山林、原野など:家は建てられないが、固定資産税は格安
・田、畑など:農地なので買えない

 地目は現況判断で変更することもできる。地目が田や畑など農地でも、木樹が茂って森林になっているような土地は、山林に変更できる可能性はある。

●都市計画区域
 バラバラと各地で開発が行われ、市街地が分散しないよう、都市計画法で、開発を進めるor進めない区域が決められている。特に、これから少子高齢化で人口も世帯も減るので、できる限りコンパクトな街にしていくことが、国として求められていく方向なんだろう。

・市街化区域:開発を進めるエリア。問題なく家を建てられる。
・調整区域:開発を抑制するエリア。家を建てられないか、建てるのに諸条件がつく。

 結果、「調整区域」だと、安くなる傾向がある。また、そういった区域の指定が何もないエリアもあるようだ。

■現実的な条件設定
 そんなこんなで、条件がよりクリアになってきた。

<条件>
・価格:100万円以下
・エリア:千葉県
・景観:自然に囲まれて、住宅や人口建造物が見えなければよい/ただし、一定の日当たりの良さは必須
・傾斜:傾斜がない平坦地
・広さ:100m2以上/ゆとりをもってキャンプできる広さがあればOK
・地目:山林・原野など(宅地・農地以外)
・都市計画区域:市街化調整区域でもOK
・他:要管理費の別荘地は避ける

 夢が、だいぶ現実的なものに落ち着いてきたが、これは実現するために必要なステップだ。あとは、これに合う、いい物件に出会えるか。

<続く|次の記事はこちら>