キャンプのおつまみに、魚で生ハムをつくろう!
お酒にもあう絶品カンタンおつまみ
お酒を美味しく、楽しく頂くには、美味しいおつまみが必須だ。そして、飲みはじめにパッとすぐ出せるものが1品はあった方がいい。そんな1品目に最適な、おつまみ「魚の生ハム」、そのつくり方を紹介したい。
魚を生ハムにすることで、旨味が引き出され、塩味とスパイスも効いて、食べ始めたら止まらないおつまみになる。
刺身とは違い魚の生臭さはなく、かといって、焼き魚とは違い「生」独特の柔らかい食感が美味しい。
このつくり方は、「キャンプ飯」と銘打っているが、キャンプ場での作業はあまりなく、基本は、事前の家での仕込みがメインになる。キャンプ場では「切って盛り付ける」だけ。
レシピ:つくり方の流れ
この基本のつくり方は、大きく2ステップだ。
- 魚に塩・スパイスを振りかける
- 冷蔵庫で脱水しつつ熟成させる
この2ステップは、自宅で行う。熟成には、最低3日ほどかかるため、キャンプ前週の週末から行うのがおすすめだ。
1.魚に塩・スパイスを振りかける
魚の選択
まず、魚を調達。スーパーなどで「サク」を買おう。
生ハムにおすすめなのは、ある程度の脂がある魚。マグロなどの赤身の魚か、白身で脂があるブリ系(ブリ、カンパチ、ハマチなどの呼称)がおすすめになる。白身で淡泊な魚は、旨味がそこまで出ないので、ベストではない。
今回は、マグロを用意した。
塩・スパイスの選択
振りかける塩とスパイスなどの調味料をセレクトしよう。
振りかけるのは、塩が必須で、加えてスパイスは何でもいい。自分でハーブや香味野菜など1つずつセレクトしてもいいが、スパイスがミックスされたものを選択するのが楽だ。
おすすめは、「黒瀬のスパイス」。辛みが少し入っていて、お酒のおつまみにちょうどいい。
アウトドアスパイスの「ほりにし」でもよいし、スーパーでも手に入りやすい「クレイジーソルト」でもOKだ。
このスパイスミックスには塩が含まれているので、それだけでもつくれるが、それなりに量を使うので、塩と組み合わせた方がコスパは良い。
こだわるならば、「燻製塩」がおすすめだ。
豚肉で生ハムをつくるときは燻製したりする。この魚の生ハムも、できれば燻製したいところだが、燻製の手間はそれなりにかかる。また「生」をキープするために、火を通さないよう、「冷燻」という低い温度での燻製が必要なるため、難度がとても高い。
燻製された塩を使うことで、この燻製の風味をつけ、それっぽくつくることができる。
塩・スパイスの振りかけ
魚に、塩とスパイスを振りかけていく。
この生ハムは、加熱をしないため、調理中に魚に雑菌がつかないように気を付けたい。手ではなるべく触らず、食器なども殺菌しながら進めていく。
まず、塩から。塩・スパイスの量は、魚の重量の10%前後。スパイスミックスによって、塩の含有量が変わってくるため、振りかける量も変わってくる。好みに応じて、調節していくのも楽しみの1つだ。
今回のマグロは160g。
まず、塩5%:8gを量って、両面にまんべんなく振りかける。
これをラップして、冷蔵庫で数時間おく。
次に、スパイスを振りかけていく。今回は「黒瀬のスパイス」を使う。量はマグロ重量の6%:10gほど。少しブラックペッパーも加えている。
ここに隠し味として、顆粒の「こんぶだし」を足す。ちょっとしたドーピング。
うまみ成分のグルタミン酸が加わり、より美味しくなる。例えば、「塩こん部長」などの昆布系のものなら何でも大丈夫だ。塩こんぶの場合は、塩を減らすなどで塩味のバランスをとる。
2.冷蔵庫で脱水する
塩をふりかけて数時間おくと、魚から水分がだいぶ出てくる。これをまずキッチンペーパーなどで拭き取る。
そして、スパイスを振りかけたあと、「脱水シート」に包んで、また冷蔵庫へ入れて脱水を進める。
この脱水シートは、オカモトの業務用「ピチット」のスーパー、最も脱水力のあるタイプ。これに包むだけで、脱水ができる。
脱水する場合に、「干す」という手もあるが、温度が上がるため乾燥途中での雑菌が心配になる。これを使うと、冷蔵庫に入れたままで脱水ができるため、とても衛生的なのだ。
オカモト ピチット スーパー 18枚ロール 魚や肉の食品用脱水シート 業務用 日本製
魚を、隙間なく包んで、冷蔵庫へ入れておく。
そして1日置いた後、脱水シートを外す。1日でたっぷり水分が出て、脱水シートがたぷたぷだ。
また新しい脱水シートに取り替えて、さらに冷蔵庫で脱水を進める。これで2日置いて、完成だ。
生のまま水分が抜けて、熟成されている。
キャンプ前週の土曜・日曜に仕込みを始めると、ここで火曜・水曜というタイミングになる。
ここで少し味見をしてみよう。多少濃い分には、お酒に合うので良しとしてもいい。もし味が濃すぎるという場合には、軽く水で流すなどしてもいい。
ここで、また脱水シートを取り替えて、「冷凍庫」で保管しておく。それで鮮度を保つことができる。更に、熟成も進む。
補足
最初に、塩だけ振りかけてから数時間寝かせたが、塩とスパイスをいきなり振りかけ、すぐに脱水シートに包んでもいい。手間としてはその方が楽だ。ただ、最初の数時間で、脱水シートで吸いきれないくらいの水分が出る。脱水シートもそこそこの値段がするし、溢れたときにスパイスも多少流れてしまうので、まずシートなしでも水分をできるだけ出しておこうというやり方をしている。
手間をかけられない・かけたくないときは、すぐ脱水シートでもOK。ただ冷蔵庫に入れる際に、パッドにのせるなど、水が溢れても冷蔵庫内にこぼれないようにしておいた方がいい。
消費期限について
こういった家庭での脱水レシピは、消費期限の見極めが難しい。もともと生の魚は、2日くらいの消費期限だが、塩漬けして脱水することで、消費期限が延びる。ただ、どれくらい延びるかは、家庭調理での衛生状態や、保管状態によるので、正直わからない。それは自己責任の範疇になる。
自分で食べるならまだいいが、キャンプ飯として仲間に提供するならば、安全をみた方がいいと考え、脱水・熟成に3日@冷蔵庫、保管4日@冷凍庫の期間で、出せるようにつくっている。
キャンプ場でスライスしてご提供
キャンプ場へは、冷凍状態からクーラーボックスで持っていき、夜には解凍されているので、ナイフでスライスし、お皿に盛り付けるだけ。
こちらは、前回つくったハマチの生ハム。
さっぱりしたタマネギのスライスなどと合わせると、うまく調和して美味しい。
マグロの注意点
1点だけ、マグロで生ハムをつくったときの注意点がある。マグロの脂により、ナイフや食器に「とても強い魚の臭い」がつく。お皿には、できればクッキングシートなどを敷いた方が無難だ。特に木製の皿などを使うと、木に浸み込んでなかなかとれなくなる。
いろいろチャレンジしたい魚の生ハム
前の週に仕込む、数日後ごとにシートを取り替える、という手間はかかるものの、トータルの作業時間はとても少ない。それで、なかなか味わえない絶品が楽しめる。ぜひ、多くの人に試して欲しい。
もし更にこだわるのであれば、キャンプ場へ持ち込んだ脱水した魚を「燻製」するのもありだ。温度を上げずに燻製する「冷燻」となるので、気温の低い季節に、ひと工夫が必要になる。
例えば、このような燻製装置を組む。右側のダンボール内でスモークウッドを焚いて、左側に魚を入れて、間をペットボトルでつくったトンネルでつなぐ。右から左へ煙は移動するが、温度は低くなるという工夫だ。
ここまでやると、変態・・・もとい玄人の域となるが、これでつくった生ハムは絶品だ。
これからも、いろいろ試してみたい。