山林探し⑤ 山林を見に行く・後編

 実際に1つ山林を見に行って、具体的なイメージがだいぶできてきた。さらに、探していく。

《まとめ》
・条件に合う物件を見つけたが、一番のハードルは「竹」と分析
・その検証のために「竹伐採の体験」を不動産会社に提案

 前回、案内してくれた不動産会社は、「土地を仕入れて売る」というビジネスモデルだった。自分たちで土地を管理しているので詳しいし、値引き可能かなど価格について聞いても回答が早い。また、近所の人と人間関係ができていたりもする。
 過去に問い合わせした場合も、「土地オーナーと仲介して、手数料を取る」というモデルの会社であれば、「オーナーに確認します」という回答になり、時間がかかるケースもあった。

 更に今回、山が好きな会社だったこともあり、他に抱えている物件がないか、帰ってからも継続的に相談をしていった。

■不動産会社も忘れていた物件?

 今回、もともと物件を見つけたのはSUUMO だった。SUUMOは、アプリの検索機能がわかりやすく、使いやすかったので、日々のチェックのメインに活用していた。一方、at home には、SUUMOにない「不動産会社」から検索する機能があった。そこで、at homeで、今回の会社から検索をしてみた。

 「基本的に同じ情報を、いろんなサイトに載せてますよ」と言われたので、同じラインナップかな、と思っていたが、1件、SUUMOに載っていないものを見つけた。

 気になって問合せ、早速、見に行くアポイントをとった。不動産会社も、その物件はイメージしていなかったようだ。きっと、使い道があまりなく、安いので、そこまで販売に注力もしていなかったのではないか。

■ポツンとある小さな森の一角

 今回の物件は、住宅、農地が混在しているエリアにある森の一部の土地だった。

 その土地は、現時点で、辿りつける道がない状態だ。本来、道としてあるところは、長年、誰の手も入っておらず、荒れた竹林となっており、自動車どころか人間が歩くことさえ不可能な状態になっていた。また、水路があり、ジャンプして飛び越えるのも無理な幅だった。

 本来のその物件へのアクセス方法では行けないため、他の所有者の方の土地を経由して、現地へ入らせて頂いた。森ではあるが、その場所だけは竹林になっていた。

 この物件の概要は、こんな感じだ。

  • エリア:千葉県/自宅から1時間ちょっと
  • 地目:山林
  • 景観:住宅・畑が近いが、現地は森の中で、自然しか見えない
  • 傾斜:全て平坦地
  • 広さ:400㎡ちょい/周囲も森なので視覚的にはもっと広く見える
  • 都市計画区域:区域外(何の指定もされていない)
  • 価格:予算の半額近く(安い!)

 設定した条件的としては、全てクリアできている。
 また、陽当たりがよく、風通しもいい。前日が雨で、土を確認したが、水はけも相当いい。何か“突き抜けた魅力”があるわけではないが、悪い点もなく、私が求めるキャンプ地としては、ダイヤの原石ともいえる物件だと感じた。

 ただ、現地の荒れ方を見て、土地活用するにはかなり難度の高い物件に見えた。長らく買おうという人がいなかったのは理解した。

■キャンプ地としての考察

 住宅地としては、この土地を活用するのは不可能だろう。

 電気・上下水道も、引くことは難しい。ただ、キャンプ地としてはどうか。キャンプに必要なインフラは、どうにか用意する手段はある。電気は、基本は不要だが、必要あれば大型バッテリー&太陽光パネル、もしくはガソリン発電機があれば可能だ。上水道は、飲料水はミネラルウォーター、それ以外は雨水を貯めればいける。下水道も、トイレを山小屋などで使われているコンポスト型にするなど、手はある。

 そうなると、目下のハードルは「竹」だ。現地も、そこまでの道も、竹がびっしり生えている。竹の対策について調べてみた。

  • 生育スピードが早く、地下茎でつながって繁殖する
  • 伐採しても、地下茎が残っていたらまた生えてくる
  • 重機で根から掘るのが確実で、業者に依頼もできる
  • 伐採した竹や根の「処分費」が高く、掘るだけなら10万円ぐらいから可能
  • 個人でも、時間はかかるが駆除する方法はある

 今回のキャンプ地づくりは、基本は自分たちで全てやりたいと考えていた。竹の駆除は、自分たちでもできる手があることはわかった。また、それが無理だったとしても、10万円前後のコストでどうにかできる。もし業者に頼んだら100万円以上かかる「傾斜地」の対応よりも難度は低いと考えた。

■竹林伐採の体験提案

 ただ、竹の駆除について、個人でもできるとあるが、私たちが、週末しか来られない中で、現実的にできるかどうか。私自身、草刈の経験もなく想像がつかない。竹や草刈りに手いっぱいで、キャンプまでに至らない、ということがあったら最悪だ。

 そんな考察からふと思いつき、不動産会社にこんな相談をしてみた。

 購入前に、竹林の伐採を、試させてもらえないか?

 不動産会社の方と、ここに来る道中で、保有している物件のメンテナンス、竹や草の伐採の仕事もあるという会話をしていた。そこで、「この物件でなくても構わない。不動産会社が保有している物件でそういった仕事をするときに、お手伝いという形で参加し“体験”をさせてもらえないか。そこで、どれくらい大変か、できそうか、を実感を持って判断したい。」という話を持ち掛けた。

 不動産会社としては、作業中の事故があった場合の責任所在などややこしいかもしれないが、私を、単なる無料の“人的パワー”として活用してもらえるので、メリットのある提案として捉えてもらえたらよかった。

 ちなみに、今回、同行してもらったのは、不動産会社の新人さんだった。前回は支店長が案内してくれたが、そこに「入社したばかりなので、勉強のために同行します」といた方だ。少し不安もあったが、私も“キャンプ地”という恐らくそこまで件数のない相談をしているので、「一緒に勉強しましょう」というスタンスで、巻き込んでみようと考えた。

 物件を見た後の帰路にて相談し、「前向きに、社内で相談します!」という回答を頂き、この日は終了した。

 ちなみに後から聞いた話では、1件目の見学で、私の人となりを見たうえで、「新人が最初の経験を積むには、よい人」と考えられたそうだ。私自身、高圧的な態度をとったりはしないし、確かにクレームなど起こすリスクは低いとは思うが、それはそれで良かったと思うことにした。

 こういうのも、1つの縁。後々活かしていきたいなと思う。

<続く|次の記事はこちら>