山林探し⑪ 地域とのお付き合い・前編

山林を買った後の、ご近所付き合いについて、考えてみたい。

 山林を購入してキャンプする。その土地を買うのは自分の選択だが、その地域に新たに入っていくという立場から、近隣の住民の方々との関係、というのは無視できない。その関係次第では、楽しくキャンプすることができなくなる、ということもあり得る。

 このラボリエでは、今のところ、ご近所様とのトラブルは起きていない。

ご近所とうまくお付き合いできてるのは、とてもいいことだと思いますよ。今までお手伝いしてきたキャンプ場でも、何かしらトラブル起きてたりしましたから。

 と、玄人キャンパーの友人に以前来てもらった時に教えてもらった。

想定されるご近所トラブル

 確かに、私と同じように山林の購入後や購入検討中に、トラブルに遭った事例が、ネットを見ていると散見される。よく見るのは、大きく5つだ。

①「焚火」に対するクレーム
 山火事のリスクがあるので、焚き火をしないように言われるケースだ。対策して、消防署の確認でOKもらっても、「絶対ダメだ」と言われている事例もあった。

②「境界線」のトラブル
 山林の境界線は、測量図が古く、曖昧になっていることも多い。「樹」や「岩」を、境界の目印としている場合も多いそうだ。境界近くまで木を伐採をする場合は、後々のために、隣の地権者と確認をとった方がいい場合もある。

③ 隣地を侵食するトラブル
 自分の土地の崖が崩れて、隣地に何か被害を与えたりするケース。実際はあまり発生していないが、「これが怖い」という理由で、崖地は避けている人が多いイメージだ。また、一般の住宅地でもあるが、木の枝が隣家や道路にはみ出してしまったり、竹が地下茎を通じて侵食してしまったり、ということもある。

④ 無断での立ち入り
 その山が、例えば、木の実や山菜が採れたり、川や湖があって魚が採れる、という場合、入ってきて山菜狩りや釣りをしたりする、というイメージだ。自分で楽しもうと思って行っても、ほとんど誰かに採りつくされた後、という場合もあるようだ。その際に、焚き火して跡が残ったり、ゴミが捨てられるという事例も。

⑤ 産業廃棄物の不法投棄
 ご近所さんがすることはないだろうが、その山に、産業廃棄物などを捨てられる、というトラブルだ。産業廃棄物の場合、持ち帰って家庭ゴミとして捨てるわけにもいかず、処理にそれなりの費用がかかってしまう。

 ラボリエでは、この5つのトラブルは起きていない。運よく起きていないだけなのか、何らか対策したことの結果なのか、その背景を、考えてみたい。

ラボリエのご近所さん

 ラボリエの森は、深い山奥ではない。住宅地や田畑に囲まれ、コンビニまで1kmという立地だ。最も近い住宅までは、約100m。その先にも、いくつかの住戸がある。小学生くらいの子どもから、ご年配の方まで、幅広い年代の方が住まれている。

 同じく100~200m離れたところに畑があり、年配のご夫婦が農業を営まれている。

 開拓で訪れたときには、見かけたらご挨拶するようにしている。また、最初お会いしたタイミングでは、全ての世帯は回れなかったが、お土産を持って自己紹介をしていった。

①「焚き火」トラブル回避の背景

「焚火」に対するクレーム

 これは、買う前に想像して、一番心配していた。そこで買う前に、不動産会社と「竹刈り体験」をしたときに、見に来られたご近所さんに、それとなく話して、感触を掴んでいた。

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ここでは、キャンプを楽しむ予定で。テントに泊まって、料理したり、焚き火もしようと思ってます

へー!それはいいですね!

 意図的に、「焚き火」というワードを出してみたが、心配だという反応はされなかった。他の方も、同じく聞いてみたが、ネガティブなリアクションはなく、少し安心した。

 また、初めて焚火をするときには、念のため、消防署にも相談に行った。

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 消防署でも、届出のアドバイスと注意喚起は頂いたものの、特にネガティブな反応はなかった。

 そこから何度も通ってわかってきたが、この地域では、「焚き火」が身近な存在なようだ。ご近所さんも、庭に、ドラム缶などで焚火をする場所をつくっている。また、畑などの端で、伐採した木や草を燃やして処分しているのも、よく見かける。普段から、地域のそこかしこで煙が上がっているのだ。

 だから、ラボリエの森から煙が上がっていても、驚かないし、寛容になるのだと思われる。

 もちろん、山火事にならないよう対策をしておくのは必須だが、焚き火するのを受け入れてもらうには、そういった、「焚き火が日常」の地域を選ぶというのも、1つの手かもしれない。

 その周囲をまわって、焚き火跡がないか、煙が上がっていないか、民家の庭に焚火場がないか、など見れば、なんとなくわかってくる。

②「境界線」のトラブル回避の背景

 これは、回避というか、まだ何も発生していない。

 近隣の畑を営んでいたご夫婦が、たまたま隣の土地を持っているとお伺いした。

不動産会社からは、樹が境界になってるとお聞きしました。

そうなのかい。あのへんは、境界の杭もないからなぁ。曖昧なんじゃ。

 と、特に、気にしている様子はない。

 測量図はあるものの、もう50年ほど前の「三角測量」で測ったものだ。それが今も引き継がれている。昔の測量法で、もう法的に有効ではないらしい。今は、GPSを使った測量になっているそうだ。

 不動産屋さんのいう、境界となる樹。買った後に、巻き尺を持って竹林をかき分け、ざっくりと距離は測り、測量図と照らし合わせてみた。恐らく、左の奥に並んでいる、少し太めの杉の木が、境界のようだ。

 GPSの測量をしなおして、隣接する土地の地権者と確認する、までしておけば、後々のトラブルは防げるかもしれない。ただ、お金も手間もかなりかかるので、そこまではしたくない。

 この土地は、境界線付近に太い樹が何本か生えているが、土地の大半は、竹と、細い木だけが生えている。そのおかげで、太い樹=境界線のあたりがつけやすい。これが、似たような樹がたくさんある林だと、どの樹が境界か、判別できないかもしれない。

 まず一旦は、恐らく境界となっている「樹を切らない」ことが、ポイントとなりそうだ。一部、何本かある太い樹の、どちらが境界となっているかわからないところもあるが、1-2mの差だ。遊ぶ分には支障はない。また、今のところ、邪魔で切りたい、という樹もない。

 ここはたまたま、境界のあたりがつけやすい土地だったが、そうではない土地を購入した時は、ある程度、不動産会社とも相談して、測量したりなどしておくことも必要かもしれない。

<残り3つは、後編で>

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